予想通りに不合理
この本は行動経済学ブームの火付け役になったベストセラーです。
マニュアル通りにやってもなぜか売れない
行動計画を作ってもなぜかできない
という、従来の経済学では解明することができなかった「人間の不合理性」を行動経済学を使い予測することで問題解決へと導きます。
行動経済学とは?
行動経済学は経済学では証明できない人間の不合理さを人間行動で観察しようとすることで説明しようとする新しい経済学です。
例えば、理想の体型になるためにダイエット計画を立てたものの、いざ実行しようとするとなぜかできない。この様な人間行動の不合理さを解明していくのが「行動経済学」なのです。
人は相対性で判断する
著者は人間の不合理さを理解するのに欠かせないものとして「おとりの選択」を挙げています。
人間は意思決定をするときに「絶対的」な基準ではなく他のものとの比較という「相対的」な優劣を基準として決定しています。
例えば『松:1000円』と『梅:500円』という2つのランクを並べた時多くの人は『梅』という選択をするのですが、ここに『竹:700円』という選択肢を入れると、ほとんどの人は『竹』を選択してしまうのです。
つまり人は絶対的な基準ではなく相対的な基準で選ぶという事です。
自分の売りたい商品におとりを紛れ込ませることで、売りたいと思った商品を選んでもらう事ができるのです。
おとりの選択によって「意思決定が不合理」になってしまうのです。
人は最初にアンカリングする
アンカーは船の碇のことで船がその場から動かないように碇を下ろすことからこの名が付けられました。
例えば
大特価:定価5万円のバックが今なら50%オフの2万5千円!!
という広告に目が止まり本来買う予定の無かったバックを買ってしまった。
この様な行動は、最初に提示された価格によって意思決定に不合理性をもたらせた結果です。
また、著者はアンカリングはどんな買い物にも影響を及ぼすと述べています。
例えば住宅価格もそうです。
相場が安い都市から高い都市に引っ越したとしても新しい相場に合わせたりしません。今まで住んでいた相場に合わせて、これまでより小さな家や住み心地の悪い家に住む傾向にあります。
つまり今までの住宅相場にアンカーが下ろされて相場に相応しい物件を選ぶようになります。
この様なことからわかるのは
『人は最初の価格にアンカリングしてしまう不合理性を持った生き物』
という事です。
価格にもプラセボ効果がある
突然ですが、質問です。
(A)お医者さんの処方した薬
(B)一般の市販薬
ほとんどの方が、(A)お医者さんの処方した薬、を選びます。
「なぜかお医者さんで貰った薬の方が効く気がする」
と言う気持ちになるのですが、これを『プラセボ効果』と呼びます。
このプラセボ効果は価格にも影響すると言います。
著者は実験として、ある大学のジムの入口に待機し「栄養ドリンク」を売りました。
中身の同じ栄養ドリンクを『通常の価格』と『通常価格の3分の1の価格』で売った場合、『通常の価格』で買ったグループの方が疲労感が少なかったと言う意見が多くなりました。
このことから同じ栄養ドリンクにも関わらず、価格が与えたプラセボ効果は人を不合理にしてしまう事が証明されました。
報酬を貰う楽しくない。
人はもともと無償のことで働くことには寛大でそこに『報酬』が発生してしまうと途端にやる気を失ってしまう、という矛盾を持っていると著者は述べています。
これは、人々はお金のためより信条のために熱心に働くことが根底にあるからです。
そこには『社会規範』と『市場規範』の二つキーワードが関係していました。
何かを手伝うと言った、お返しの必要が無いのが特徴。
賃金、価格、賃貸料など対等な利益がこれに当たる。支払った分に見合うものが手に入るというのが特徴。
「全米退職者協会」という団体が時給30ドルという低価格で弁護士に対し『困窮している退職者の相談に乗ってもらいたい』と相談をしたところ弁護士たちは断ってきたのだが、『困窮している退職者に無報酬で相談に乗ってもらいたい』と相談内容を変えたところほとんどの弁護士が依頼を引き受けたのです。
時給30ドルより無報酬の方に軍配が上がったのです。
これはお金の話が出た途端に『市場規範』が生まれ、市場での収入に比べて30ドルでは足りないという考えが出たのです。しかし、無報酬と言う前提で話が進むと『社会規範』が生まれ引き受ける弁護士が出てきたということです。
人はギブアンドテイクを求めながら「報酬」というものが出た途端やる気を失ってしまうと側面も持ち合わせているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
こちらの本のほんの一部ですが重要な部分を紹介させていただきました。より詳しく知りたいという方は是非一度手に取って読んでみることをおススメします!!
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