皆さん、医療保険は入ってますか?
加入されている方は「間違いなく自分のためになっている」と自身をもって言えますでしょうか?
保険の契約をするシチュエーションは色々あると思います。
知り合いから、保険代理店の中から自分で選んだり、職場に来る保険屋さんからのお勧め等があると思うのですがいかがでしたでしょうか?
いきなりお勧めプランなどを提示される事もあり言われるがまま契約をする人もいるかもしれまんが、かなり危険ですね。
「どこの保険会社がいいか?」「どの商品が良いか?」と言うお悩みが多いですが問題なのはそこではありません。
事前に確認しておかなければならない大切なことが5つありますのでそれを紹介します。
①健康保険
まずはこれを知らなくてはなりません。なぜなら健康保険は強制加入だからです。しかも毎月の健康保険料は結構高額なのではないでしょうか?
しかし健康保険は「世界No.1の保険」と言われています。
世界No.1の保険に既に加入しているので民間保険を選ぶ前にこちらの中身を知ることが先決です。健康保険の中でもいくつか仕組みが分かれていますのでそれぞれをご紹介します。
1)自己負担割合
健康保険(保険証)を使うと医療費の自己負担は3割で済みます。これは広く知られている内容でしょう。
つまり医療費が100万円かかったとしても病院の窓口で支払うのは3割の30万円で済むことになるのです。
2)高額療養費制度
上記で述べた医療費3割負担に加えてさらに自己負担を減らす制度が「高額療養費制度」です。名前の通り医療費が高額になった場合の制度で自己負担額が抑えられるようになっています。金額は収入によって異なっており以下のような内容です。
<69歳以下の方の上限額> | ||
適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) | |
ア | 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 |
252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 |
167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 |
80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 |
57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
「ウ」の計算式に当てはめて考えてみましょう。
医療費が100万円だとすると
80,100円+(100万円‐267,000円)×1%=87,430円
となります。
この 87,430円 を超えた部分は健康保険から支払ってくれます。
つまり今回の場合、1か月の自己負担上限は87,430円という事になります。
3)付加給付
高額療養費制度とは別で更に給付を受けられる場合もあります。
これは全員がその給付を受けれるわけではなく特定の人に限られます。
保険証に記載されている「保険者番号」と言う番号の8桁の数字があるのですが、その数字が「06」から始まる方や「3」から始まる方はご自身の健康保険のHPを見てみましょう。付加給付の制度があれば知らず知らずのうちに制度の恩恵を受けることができているのです。
具体的には、例えばご自身の健康保険が「付加給付30,000円」となっていた場合、簡単に言うと「自己負担が30,000円」と言う事になります。
これは窓口の支払金額ではなく最終的な自己負担です。窓口で80,000円支払った場合、数か月後のお給料と一緒に払い過ぎていた50,000円が返ってくるのです。
この返金はほとんどの場合、申請の必要が無く自動で返金してくれます。
(1)3割負担で医療を受けられる
(2)高額な治療費になる場合は1か月あたりの自己負担額が決められている。
(3)場合によっては払い過ぎた医療費がお給料と一緒に支払われる。
ここまで聞くと健康保険が『世界No.1』と言われる理由が分かるのではないでしょうか?
②食事料金
病院で食事をした場合、当然ですがその費用も請求されます。
食事料金は健康保険の給付の対象外ですので、上記で記した医療費とは別に請求されます。
保険屋さんはこれを強く印象付けて伝えて医療保険の加入を勧めることもあります。
ただ、知って頂きたいのは食事料金がいくらなのかと言う事です。
金額はズバリ『460円』!!
これは全国どの病院で食べたとしても一律の金額です。
そして冷静に考えて貰いたいのですが、1食460円は普通の生活の中でもかかってくる金額と大差ありません。家でお弁当を食べても病院で出された食事を食べても金額は同じなのに病院の食事料金だけ心配するというのはおかしいですよね。
③個室料金
食事料金と同じように個室料金も健康保険の対象外なので別途かかってくる費用になります。
正式名称は『特別環境療養室』と言います。
この特別環境療養室ですが、病院側にも一定のルールのもと整備されており、それがこちらです。
つまり『全部個室の病院』と言う事はあり得ません。
2)4人以下の部屋が対象
3)1人当たりの床面積が6.4㎡以上
これらの条件を満たした部屋は『別途料金(差額ベッド代)を請求しても良い』とされているのです。
そしてもう1つ差額ベッド代を請求するために必要なのが『患者の同意』です。
つまり、病院側は患者に対し「個室を使うと差額ベッド代がかかる旨を説明し、患者が自ら望んで個室に入院するときは差額ベッド代を請求しても良い」と言う事になります。
個室しか空いていないような病院側の都合で個室を利用する場合は患者は個室代金を支払う必要がありません。
個室を希望しないのであれば「入院時に個室に入って入院費が高額になるかもしれない」と言う心配をする必要が無いという事になります。
④DPC制度
DPCとは、「Diagnosis Procedure Combination」の頭文字をとったもので、Diagnosis=(診断)、Procedure=(治療・処置)、Combination=(組合せ)からなる略称です。
日本語では「診断群分類別包括評価医療制度」と称されており、医療費の定額支払い制度に使われる評価方法です。簡単に言うと患者一人一人に対し医療費の請求額について一定額の上限を設定する制度です。検査や投薬、治療行為についてどれだけ実施しても請求できる上限金額が決められているので必要以上の医療行為を制限する効果があります。
これが私たちにどのような影響を与えるかと言うと「入院日数の短期化」が挙げられます。『最近は入院が短くなった』と言う話を聞くことが増えていませんでしょうか?生命保険会社のコマーシャルでも良く言われるようになりました。
その原因の一つがこのDPC制度です。
お伝えした通り、医療費として請求できる金額の上限が一定限度に定められているのですが入院においても例外ではありません。入院時に患者へ請求できる金額は入院の日数が長くなる毎に減っていき30日以上の入院になると請求できる金額がかなり下がります。しかし、医療行為を行えば経費はどんどん増していきますので病院は赤字になってしまうというわけです。入院が長期化すればするほどDPC制度を取り入れている病院は経営が悪化するので、「入院の短期化」と言う現象を引き起こしてしまいます。
⑤医療保険は最終的には赤字になる?
最後に把握しておかなくてはならないのは「医療保険はほとんどの人は支払う保険料の方が貰う給付金よりも多くなる」と言う事です。
例えば、30歳男性 入院保険日額5000円 保険料:月々2000円
と言う内容を例に考えてみましょう。
保険料を80歳までの50年間支払うと
2000円×12か月×50年=120万円
となります。
ではこの120万円を入院給付金のみで貰おうとすると、
120万円÷5000円=240日
と言う計算になります。つまり50年の間で240日の入院ですので10年に1回、48日間(約1か月半)の入院をすると支払った保険料と同じ程度の金額を受け取れることになります。
④で述べたように入院が短期化する中でこの様に受け取れる可能性はかなり低いかと思います。また、240日入院して受け取れる金額はあくまで保険料相当額なので支払った医療費も上乗せされると更に入院や手術を受けないと損をするという事になります。
あくまで、損得ではなく「お守り」として精神安定剤の役割で契約をすると言う事であれば問題ありませんが、金銭的な問題で必要なのかと考えるときにはよく注意をしなければなりません。
まとめ
以上のことは保険の加入時に知らされることはほとんどありません。なぜなら、この様な事実を知られてしまうと保険屋の営業は保険を売ることが出来なくなってしまうからです。
もしも時のことを言われ不安に掻き立てさせて保険の契約を勧めてくる人たちは上記のことを知っているのでしょうか?最も悪質なのは知っていて黙って契約を勧める人ですね。保険はご自身でもしっかりと情報を身に着け、信頼できる人を見極めて加入しましょう。
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