AI vs .教科書が読めない子供たち

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AI vs .教科書が読めない子供たち

 

今後来るかもしれない「AI時代」に向けて、「AIはどの様な存在なのか」「AIは人間にとって代わる存在となるのか」と言ったことを開設する一冊です。

2019年にビジネス書大賞にも輝き30万部を超える発行をしています。

著者は国立情報学研究所教授・同社会共有知研究センター長を務めた新井紀子氏です。

2011年より「人工知能プロジェクト・ロボットは東大に入れるのか」のプロジェクトディレクターをされてきた人でもあります。

 

AIとは
Artificial Intelligenceの略で「人工知能」と言う意味です。

人間の脳で行っている知的な作業をコンピューターでおこなう事を指しますが、「AI」の定義は未だ定まっておらず、何をもってAIとするかは明確ではなありません。

 

・「AIは神になる」は誤解

AIの話題が広がる中で

AIが加味になる

AIが人類を滅ぼす

AIが人間の仕事を奪う

など様々な噂がでまわりました。

しかし、著者は「AIはまだどこにも存在していない」と述べています。

そもそもコンピューターが行っているのは「計算」であり、AIの目標とするのは人間の知的活動を四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)で表現するか、表現できていると感じる程度に近づけることなのです。

 

なのになぜここまで「AI論争」が起こっているかと言うと

『AIと言う言葉』『AI技術』が混同して使われてしまっている

と言うところにあります。

AI技術は音声認識や画像処理技術と言いったAIを実現するために開発されている様々な技術のことを指します。

この技術が格段に発達したこととこのようなAI技術を総称してAIと呼ぶようになったことが重なり『ついにAIが誕生した』と言ったうわさが広まる様になってしまったのです。

 

このことから結論付けられるのは

AIは遠い未来ならともかく、近い未来においても誕生することは原理的に無理な事だった

と言う事になります。

 

シンギュラリティは来ない

シンギュラリティとは『技術的特異点』を意味し「AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能になる時点」を指す言葉です。また、AIが自分よりも能力の高いAIを作り出す事ができるようになった「地点」のことを言います。

 

以前、AIがチェスの世界チャンピオンに勝ってしまったりプロ棋士が囲碁のゲームソフトに負けてしまったと言う事があり「シンギュラリティが来るのか、来ないのか」と言う論争に拍車が掛かってしまいました。

しかし、著者は「シンギュラリティはこない」と明言しています。

それはなぜか。理由は

今のAIの延長では真の意味でのAIは誕生する事は無い

からです。

今のAIはコンピューターに過ぎずできることは計算です。そして現段階で計算できることとことと言えば

・論理的に言えること
・統計的に言えること
・確率的に言えること

の3つだけなのです。このことから、人間の脳で認識いていることを全て計算可能な数奇に置き換えることは不可能であり、つまりはシンギュラリティは到来しないという事を意味しています。

 

「中高生」の読解力が低下している

日本の中高生の読解力は危機的な状況にあります。その多くは中学校の教科書の記述を正確に読み取ることができていません。

著者は全国25000人を対象に基礎的読解力を調査するために「リーディングスキルテスト」を実施しました。内容は次の6つの分野に分かれております。

「かかり受け」
「照応」
「同義分判定」
「推論」
「イメージ固定」
「具体的同定」

この6つを理解できているかで読解力がわかるというものです。

この結果、正解ができたのは

中学生:62%

高校生:72%

と言うものでした。

 

つまり中学生の約4割、高校生の約3割は正解できなかったという事になります。

この調査が行われた学校は全て進学校で、受験を控えた生徒たちが対象だったにもかかわらず、3~4割の生徒が文章を正しく読むことができなかったという結果になりました。

 

なおAIは「かかり受け問題」については正解率80%、「照応」についても急速に発展がされており

『AIに取って代われる時代』

がすぐそこまで来ているとも言えます。

 

・AIに「奪われる」仕事は存在する

著者が考える最悪のシナリオとして

『ショールーミング現象』

と言うものがあります。

【ショールーミング現象】
商品を購入する際、実店舗に訪れて物品を確認し、購入するときは
オンラインショップで買うという事

その代表例が家電です。

家電量販店で店舗スタッフから商品の詳しい説明を聞き、自分の希望に合う品を見つけ、あとはネット上で最安値の所を探して購入するパターンです。

今、ショールーミングで購入する消費者が非常に増えており、この現象が続けば販売店は最安値の金額に合わせて売らなければならなくなります。

 

これは既に影響が出ている状況で、2017年のアメリカ・トイザらスが破綻した原因がこれと言われています。

駅前の商店街は圧倒的に不利で閉店に拍車が掛かってしまう事になります。

 

AIによる最適化によって家電だけではなくホテル、航空運賃、老舗旅館など数多くの企業が倒産に追い込まれることになりかねません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回のご紹介はほんの一部ですが、AIと言うもののイメージが変わったのではないでしょうか?

詳しく知りたいという方は一度手に取って読まれることをお勧めします。

 

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